手打ち蕎麦
Home made soba
辛味大根蕎麦のページが
あります

趣味の一つに蕎麦打ちがある
大してカネはかからず、腹の足しになり、人に喜んで貰える結構なものだ
退職して「ぶらぶらしてるのも何だからひとつやってみるか」なんて手合いが最近特に多い
DVD付き蕎麦打ちキットとかWEB上で指南するサイトもたくさんある

私がこれを始めたのはずいぶん前でもうかれこれ☆◎十年になる
女房の父親が趣味としていたもので手ほどきを受け、それからやるようになった
女房の実家は茨城の北の方で、今はソバの産地として名高い金砂郷や水府の近くであり
そういう意味ではソバの本場と言える

ソバなら信州信濃と良く言われるが現在の国内の産地は茨城と北海道、輸入ものなら豪州
タスマニア(春が新ソバになる)が知られている
その本場で打っているにも拘わらず義父はあまりうまくはなかった
その弟子だった私も当然うまく打てない。一応見よう見まねでやってみるものの最初は
スプーンがなければ食べられない。その後少しはマシになったものの「ズズヅ〜〜ッ」という
うまそうな音を立てて食べるのは夢のまた夢。「ズッ・・・」で終わってしまう
切った直後は一見長く繋がっているように見えるが茹でるとプツプツ切れてしまうのである

一時期新潟に遊びの拠点があったことがあり、土地の人の助けでソバの種蒔き、草取り、収穫
脱穀、石臼挽きを経てソバ打ちまで全部をやったことがあるが肝心のソバの出来は思わしくなかった
ただ挽きたてのソバ粉で作る蕎麦掻きはビックリする程うまかったが

と数年前、うまくできるというある人物にちょっとコツを教わった
ポイントはいくつかあったのだが結果として非常に満足のいくものができるようになった
そのポイントのうちどれが効いたのかはよく分からないが、それ以前とは全く雲泥の差がある

これ以降は何時作っても殆ど失敗することはない。上手とは言わないものの毎回人様に食べて
もらえる程度のものはできている。人に教わることができるのは有難いことだ


使用する道具
捏ね鉢はステンレスのボウル、駒板は手製
延し棒はホームセンターで買った単なる丸棒を
長年使ってきたが最近専用のものを買った
包丁は柄の部分を改造してある
改造の詳細はこのブログを参照

延し板というものはなくテーブルの上でやる
粉と水の量を正確に計ることが第一のポイント
そば粉とつなぎ粉の比は7:3が作り易い
水は粉の合計の45%(重量比)を計っておく
いわゆる水廻しの作業でそばが決まると言うが
やはりここが一番肝心なところだと思う
粉は篩う場合もそうしない場合もあるがあまり差はない
そば粉とつなぎ粉を良く混ぜ合わせておいて
計った水の9割を一気に入れる
最初は両手で下から掬うようにして水を粉に含ませ
水を吸った粉が米粒状にパラパラになるようにする
全体が細かな粒になったところでまとめてゆく
この段階で水の量を微調整する

まとめたものを平らに押し潰してみて端がひび割れる
ようなら水が少ない。極く少しずつ残りの水を加える
練っている時に手にベタついてきたりステンレスの
ボールが生地に付いて持ち上がるようだと水が多い
入れ過ぎると修復は難しい

平均的な水の量は43%くらいだが粉の状態によって変わる
概して新しい粉は少なく古い粉は多めになる
41%で十分だったり、47%必要な場合もあった

この後の練る作業は適当で良い。5-60回程度が目安
練れば練るほど良く繋がるというものでもない
よく「中の空気をしっかり追い出す」と言われるが
あまり気にしていない。どうせ薄く延ばせば空気は
出てゆく
全体が滑らかにまとまったらこんな形にする
延しも結局は薄くなれば良いので適当にやる
ただし延しの段階では打ち粉は必要最低限に使って
生地に練り込まないように気をつける

角を出して四角くするとか正円にするとか形には
別にこだわらない。できたなり
延し棒に巻き付けての延しを3回程度繰り返せば終了
厚さもいろいろ言われるが、まあ適当で
夏は汗が、冬は洟水が生地に滴り落ちないように注意

延しが終わったところ
たたみ方は、私の場合はまず中央から包丁で2つに切る
切り口を合わせて2枚を重ね、後は大きさに応じて2つ
または3つにたたみ、最後に全体を2つにたたむ
最後に折った折り目(この写真では右側)を必ず手前側に
して切る
すなわちこの写真では裏返し状態である
この作業では打ち粉を十分に打つ
切るのも特に難しいものではない
ゆっくり丁寧にやれば誰でもできる
ただ注意するのは駒板に圧力をかけて押し潰さないことだ
駒板の滑りが悪い場合はよく粉を振る
切り終えた蕎麦は長く延ばした状態で「舟」という入れ物に
入れるのが本式だが、私の場合はこのようにバラバラに
ほぐしてしまう
見かけは悪いが結局これが隣同士でくっつくことがなく良い
どうせすぐ茹でるので同じことだ
これで蕎麦打ちは終了。後は茹でるだけだがこれもなかなか
加減が難しい
少量ずつ茹でてすぐ十分な量の水に放つ
茹で立てをざるで食べるのが一番だ

蕎麦つゆもなかなか奥が深いものらしいが、そこまでは手が
回らずにんべんの「つゆの素」で間に合わせている


ここに掲げたのはあくまでも私のやり方で「邪道だ」と言われる部分も多分多いと思う
そば打ちが10人寄れば10通りのやり方があると言われるように人によってかなり異なった
やり方があり、夫々にこだわりがあるようだ

そんな人々のサイトを見ると「こうしなければならない」というのはたくさんあるが
ここでは経験上「これでも別にかまわない」というのをいくつか(上と重複するのもあるが)

・捏ね鉢はステンレスで十分、木鉢は漆塗りのものでないと水を吸ってやり難い
・特に古い固まっているような粉でない限り必ずしも篩わなくても大丈夫
  ただしそば粉と小麦粉はよく混ぜる必要がある
・十割そばでない限りお湯でなく普通の水道水で良い
・山芋、玉子、海藻(ふのり)のようなつなぎ補助材料を特に使わなくとも繋がる
・つなぎ粉と銘打ったものでなくとも普通の中力粉、または薄力粉と強力粉を半々に
  混ぜたものでよい
・加水は数回に分けなくて良い。と言うか以前はそうしていたがうまくゆかなかった
・最初だけ箸で混ぜるやり方もあるが特に結果に差はなかった。手でも不都合はない
・あまり時間を掛けて練る必要はない、多くとも100回程度か、表面が滑らかになればOK
・菊練りと言う特殊技術は必要ない、空気を練り込まないように気を使う必要もない
・きれいな円錐形にまとめたり、へそ出しをしたり、へそを上にするか下にするか
  気にする必要もない。適当にやっても大丈夫
・打ち粉も専用のものでなく普通のそば粉でかまわない
・延す時に形で悩む必要はない。形によっては少々短いのもできるが大して違わない
・切る時に折り目に大量の打ち粉を置くとかうどんを入れて潰れないようにする
  という話もあるが別に必要とは思わない。
・茹でる時にあまり乱暴にやらない限り箸で掻き回しても大丈夫

最後は「こうした方が良い」だが食べるには、

・茹で立てをすぐに
・純米酒でも飲みながらなら最高
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