音楽の編曲
Arrangement of music


音楽の演奏も好きだが最近は編曲も一つの趣味になっている
幸い退職後は自由な時間が多いのでこれに費やす時間がかなり多い
主として所属する弦楽アンサンブルの2団体、Jazzバンドの1団体向けの楽譜をせっせと
作っているので結構忙しい

つたない編曲ではあるが演奏してくれる人々がいて多少なりとも喜んでもらえるのが
一番の幸せである
考えてみれば私の父も大昔そんなことをやっていた
そして娘もまた近頃おなじようなことをしているのは、遠い祖先が編曲者を惨殺したか何かの祟りか

そもそも編曲するというのはかなり高度な知識、技術を要する作業だと思われている
音楽理論を専門的に学ぶ、自分で書いた譜面を自由にピアノで弾く、絶対音感がある、
といったことが編曲者には要求されるのだろうが私にはもちろん何一つない


それでも何とか「編曲」らしきことを(と言うのも憚られる、実際は譜面の清書に近いかも
知れない)やっているのは全く、別のページにある楽譜作成ソフト のお陰である
これを使えば作った譜面を即座にパソコンが演奏してくれ、ピアノが弾けなくてもそのハーモニーを
チェックすることが出来る。
持ち合わせている理論は非常に貧弱だから試行錯誤の連続となり、勢い時間は非常に掛かる
だがプロではないから締切はなく、一向差し支えない

どんな趣味であってもその知識、技術を深めたいと願うのは人の常、そうなると書物を
紐解くのがまずやることになるが、その手の本は非常に難解で頭が痛くなる
「連続する和音の構成音で共通のものは同じパートに置く」「3度の音は異なるパートに重ねては
ならない」「5度の音程をそのまま平行移動させてはならない」といったルールがたくさん
書き連ねてある

プロの編曲者はこのようなルールを全て守るのであろうが、そこはアマチュアの気楽さ
あまり深くは考えずパソコンで聞いたハーモニーに違和感が無ければ良しとしている
もっとも違和感の感じ方もまたシロートではあるが





まあしかし書物を読んで納得したこともある

・どんなパートにも演奏上の山場を作ってあげる
・どのパートもそれだけを演奏してもメロディーとして不自然でないこと

前者はなるべく心掛けるようにしている
1曲全部が全音符の引き伸ばしだったり、全部同じことの繰返しだったりしたら、そのパートの
奏者は最初に譜面を見た時点でやる気を失う
スタジオで一回やるだけの商業的な音楽ならそれもありかも知れない、いや楽で良いと却って
喜ばれるかも知れないが演奏を楽しむ曲としては確かに問題である
その観点からすればパッヘルベルのカノンのバスパートは最悪である

後者は気にしてはいるが非常に難しい
和声を最初に考え、それに沿って各パートに音を割振ってゆくとしばしば減5度のような非常に
不安定な音程や、極端な跳躍を要求するようになることがある
全体のアンサンブルの音だけでなくパート毎の音を聞いてみることが必要だがなかな難しい
その点モーツアルトの書いた譜面はビオラパートだけを聞いても自然に聞こえるのはさすが
と言うべきか




私の作る譜面は大体以下のどれかのケースとなる

(1)ピアノ伴奏譜をばらして弦4-5部のアンサンブルとする
(2)オーケストラのスコアから必要な部分を抽出して弦楽アンサンブルとする
(3)既存の音源(YouTubeが多い)をコピーして必要な楽器編成に合わせる
(4)全部(あるいは一部)オリジナルなアレンジとする

どの場合であっても腐心するのは、想定する奏者の技倆を考えた譜面とすることである
演奏するのはほぼ決まった団体であり、誰がどのパートを受け持つかと言うのもほぼ
決まっている
パソコンならどんな難しい譜面を作ろうが完璧に演奏してくれるが人間はそうはいかない
「ここは確実にこの音が欲しい」と思えばそれなりのパートに割振る必要があるが
そうすると前述の「どんなパートにも演奏上の山場を作ってあげる」ということと矛盾する
この辺が大変難しい
コントラバスはどこへ行っても私一人だから自分で演奏できない譜面は決して作らない


今までに書き溜めた作品の一部をご披露する
MP3ファイルの音は全てパソコンが演奏したものだがある意図があって強弱は殆ど付けて
いない(やればもちろん可能だが)
できれば色々な方に利用して頂いてご意見を伺えばよいのだが著作権の問題があるので
大っぴらに譜面を載せる訳にはいかない

ロッシーニ 弦楽ソナタ No.6 第3楽章より
  全部で6曲あるこの曲は弦楽合奏としては定番の部類に入るが残念なことにビオラパートを欠く
  そのためビオラを追加したものだがどこがアレンジかは分かりにくい
  チェロがビオラをカバーするような部分があるため時にビオラとチェロの高さが逆転する
  ロッシーニがかなり若い時の作品で和声は明快


ドボルザーク ロマンス ヘ短調
  ピアノ伴奏譜を元にソロバイオリン+弦5部としたもの
  オリジナルは管弦楽がバックでやるのだがそのスコアが手に入らず、ビデオを見たり
  してなかなか苦労した(今はIMSLPで入手可能)
  非常にロマンチックで美しく、しかも特徴的な和声の好きな曲である


サザエさんバロック風
  長寿アニメ番組サザエさんのオープニングテーマをバロック風にして受けを狙ったもの
  本当にバロックとするには前述のような制約がいろいろあるのだろうが余り気にしていない
  こういうのを作ってみると「何々風」というものの本質は何かを考えるきっかけになる
  で、「バロックの本質は何か?」と聞かれても何も答えられない

              

切手のないおくりもの
  元々合唱の伴奏用として弦5部+ピアノの編成で作ったオリジナルアレンジもの
  これは結構好評でその後も演奏する機会が多い
  途中でL-O-V-Eのメロディーを挟んだのも最初に必要に迫られてそうしたのだが
  良いアクセントになったかなと思っている


Lullaby Of Broadway
  ある歌手がビッグバンドをバックに歌っているもののコピー
  管はアルトサックス、テナーサックス、トロンボーンの3本でやるようにしている
  本来のビッグバンドは13本の管が標準で特にトランペットを欠く編成にするのは
  結構むずかしい。しかし13本の譜面を作るのはもっと難しい


Cute
  カウント・ベーシーの演奏で有名なニール・ヘフティの曲
  ビッグバンドものを3管とする苦労は前者と同じ
  ベーシーのものが広く浸透しているのでこれ以外のスタイルは考えられない
  ドラムはもちろん演奏用譜面を作っている訳ではなく、ギターやベースもこの通りに
  やる訳ではないが参考音源を作る上で仮に譜面を作らないと気分が出ない


クリスマス メドレー
  以上の曲は演奏用の譜面を作ることが目的の編曲だがこれは例外的に「聴く」ことも
  目的に加えられている
  カラオケに合わせて自分でバイオリンを弾きたいという知人の希望で作成した
  従ってトランペットなどはB♭管では困難な難しい譜になっている
  元々は「クリスマス ディスコ」と称する(昔流行った)Hooked on Classics風の合奏用譜を
  曲目はそのままに全面的に書き直した


杉並区歌
  こちらも完全に「聴く」ためのもの
  あるイベントのために作った杉並区歌の3番部分
  ボーカロイド(初音ミクみたいなもの)のお試し版ソフトを利用してボーカル
  入りとなっている
  杉並区のHPで提供している音源は橋幸夫(かつて杉並区在住)の歌らしい



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